〜Raspberry Piを使った電子工作〜

カラー液晶を繋ぐ 《ハードウェア組立編》


概要

 今回接続したのは、いわゆる「秋月3000円液晶」、または「PSP液晶」と呼ばれる4.3インチのフルカラー液晶モジュール ATM0430D5です
この液晶モジュールに、同じく秋月電子で入手できるLCDコントローラ評価ボードS1D13781F00Aを接続して使います。

  この組み合わせで良いところは、液晶パネルの解像度がそれなりに高い(480x272ピクセル)上に、キットのように組み立てるだけで使うことができるという点と、3.3V単一電源で動作するため、電源をRaspberry PiのI/Oコネクタから取ることができ、コンパクトなシステムに仕上げることができるという点です。

 このレポートでは、LCDパネルをXのコンソール画面として使ったり、オリジナルのグラフィックスライブラリを使って、計器の表示などを行えるようにすることを目指します。

 Raspberry Pi(以下RPiと略します)と液晶モジュールは次の図のようにして接続します。

 RPiと液晶パネルの間には、LCDコントローラというLSIを入れます。LCDコントローラというのは、LCDパネルの制御をCPUの代わりに行うもので、CPUの負荷を軽減させることができます。また、一部の描画をハードウェアが受け持つことにより、非力なCPUでも高速な描画をすることができます。

 下の写真は、Raspberry Piに、LCDコントローラ基板を介して液晶パネルに繋いだところです。
液晶パネルの上の方にある基板がLCDコントローラ基板です。この基板には、液晶パネルのバックライトを点灯させるための回路も載っています。


ハードウェア組み立て編

1)LCDコントローラと液晶パネルの接続

まず、LCDコントローラ基板(S1D13781F00A)の外観を図で示します。

 この基板のJ8端子(FFCコネクタ)に液晶パネルを接続しますが、そのままではLCDコントローラとは接続されていません。J5端子とJ9端子の真ん中で基板が「パキッ」と折れるようになっており、FFCブレイクアウト基板(J9端子側)と、LCDコントローラ基板の2つに分けて使うことができるようになっています。
 J5端子とJ9端子を適切に接続することで、液晶パネルがLCDコントローラと接続されます。

 ここでは、LCDコントローラのJ5端子(50ピン)にとJ9端子(50ピン)を繋ぎます。ストレートに繋ぐのではなく、次の表に従って繋ぐ必要があります。

※12/18修正:当初は、J5端子No.とJ9端子No.が逆に記載されていました。正しくは下表の通りです。ご指摘頂いたmin様、有難うございました。

LCDコントローラ
評価ボード
J5端子No.

LCDパネル
FFC変換基板
J9端子No.

端子名
端子説明
47
1
VLED- Power for LED backlight cathode
45
2
VLED+ Power for LED backlight anode
1
3
GND Power ground
39
4
VDD Power voltage
25
5
R0 RED data signal (LSB)
26
6
R1 RED data signal
27
7
R2 RED data signal
28
8
R3 RED data signal
29
9
R4 RED data signal
30
10
R5 RED data signal
31
11
R6 RED data signal
32
12
R7 RED data signal (MSB)
17
13
G0 GREEN data signal (LSB)
18
14
G1 GREEN data signal
19
15
G2 GREEN data signal
20
16
G3 GREEN data signal
21
17
G4 GREEN data signal
22
18
G5 GREEN data signal
23
19
G6 GREEN data signal
24
20
G7 GREEN data signal (MSB)
9
21
B0 BLUE data signal (LSB)
10
22
B1 BLUE data signal
11
23
B2 BLUE data signal
12
24
B3 BLUE data signal
13
25
B4 BLUE data signal
14
26
B5 BLUE data signal
15
27
B6 BLUE data signal
16
28
B7 BLUE data signal (LSB)
2
29
GND Power ground
6
30
CLK Pixel clock
39
31
DISP Display on/off
NC
32
- (接続しない)
NC
33
- (接続しない)
5
34
DE Data enalbe (Hi-active)
NC
35
- (接続しない)
7
36
GND Power ground
NC
37-50
- (接続しない)

私の場合は、下の写真のように、導線を基板の端子に直接はんだ付けしました。後でケースに入れるため、なるべくコンパクトに収めようとしたためです。。。

補足)液晶パネルとLCDコントローラ基板を繋ぐ時の注意点

 液晶パネルに付いているFFCケーブルを、J8端子(FFCコネクタ)に接続する時の注意点を記載しておきます。

 FFCケーブルは40ピンですが、J8端子には50ピンのFFCコネクタが付いています。秋月のキットを買うと40ピンのFFCコネクタが付いてきますので、必要に応じて換装することができますが、換装せずそのまま使う場合、次の注意点があります。

 ・次の図のようにFFCケーブルの1番ピンをFFCコネクタの1番ピンに合わせて接続する

 J8端子の上側に「1」というマークが付いていますので、マークが付いている方にFFCケーブルを合わせて挿入します。J8端子の41番ピン〜50番ピンは空きますが、問題ありません。

 ちなみに、FFCケーブルをFFCコネクタに挿入する時は、そのまま差し込むのではなく、FFCコネクタの開口部分(FFCケーブルを差し込むところ)にマイナスドライバーを静かに差し込んで捻ると「パカッ」と開きますので、そこにFFCコネクタを一番奥まで差し込んだ後、黒い部分を閉めます。(パチンと手応えがあるまで押し込みます)

2)LCDコントローラとRPiの接続

次に、LCDコントローラのJ4端子(50ピン)とRPiのP1コネクタを接続します。
次の表に従って接続します。

LCDパネル
J4端子No.

RPi
P1端子No.
端子名
1
20
GND
2
20
GND
3
17
3V3
4
17
3V3
5
(接続しない)
-
6
20
GND
7
20
GND
8
20
GND
9
20
GND
10
20
GND
11
20
GND
12
20
GND
13
20
GND
14
20
GND
15
20
GND
16
20
GND
17
20
GND
18
20
GND
19
20
GND
20
20
GND
21
20
GND
22
20
GND
23
20
GND
24
17
3V3
25
17
3V3
26
17
3V3
27
24
CE1
28
23
SCLK
29
19
MOSI
30
21
MISO
31
20
GND
32
20
GND
33
20
GND
34
20
GND
35
20
GND
36
20
GND
37
20
GND
38
20
GND
39
20
GND
40
20
GND
41
20
GND
42
20
GND
43
20
GND
44
20
GND
45
20
GND
46
20
GND
47
(接続しない)
-
48
(接続しない)
-
49
(接続しない)
-
50
(接続しない)
-
GND3V3ピンを間違えないように色分けしてあります。

 GNDやVCCへ接続するピンが沢山ありますが、必ず全部接続してください。次の写真のように、GNDへ繋ぐピンをLCDコントローラ基板側で1本にまとめてしまって構いません。スズめっき導線(部品の足の切れ端でも良い)で全てのGNDをハンダ付けします。
 また、VCCへ接続するピンも同様です。

3)LCDコントローラ基板の設定

 LCDコントローラ基板は、初期状態では液晶パネルのバックライト点灯回路が動作しないようになっていますので、設定する必要があります。

 バックライト点灯回路の設定はJ3端子で行います。J3端子の機能は次の通りです。

J3
1-2 接続でレギュレータイネーブル
  3-4 接続でレギュレータ電流を+20mA
  5-6 接続でレギュレータ電流を+20mA
  7-8 接続でレギュレータ電流を+20mA

ATM0430D5のバックライトの消費電流は20mAです。
そのため、J3端子の1番−2番ピンをショートし、また同じように3番−4番ピンもショートします。
下の写真に設定例を示します。(クリックすると拡大します)

以上でハードウェア組立編は終了です。

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2013/11/09作成