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近地球型小惑星の1998SF36に関する流星について

流星研究者の方々へのお願い

宇宙科学研究所 安部正真
国立天文台   渡部潤一

 宇宙科学研究所では、2002年の12月頃の打ち上げを予定した小惑星探査計画(MUSES-C)進めています。
 探査対象天体は近地球型小惑星の1998SF36です。この小惑星は軌道が地球軌道と非常に接近していることから、この小惑星に関する流星が観測される可能性があり、またいくつかそれらしい流星が観測されています。
 この小惑星に関係する流星の観測データが多く集まり、流星のもととなった物質の密度などがわかると、この小惑星がどのような種類の天体であるかを推測するための大きな情報となります。また、この小惑星は現在の予報では2001年3月末に地球から0.043天文単位(約650万km)の距離を通過します。また2004年6月末には地球から0.014天文単位(200万km)の距離を通過します.このような地球大接近は約30年に1回起きており、来年はこの小惑星に関連する流星が検出できる可能性があります。また毎年の出現数の変化のデータがもし得られれば、小惑星の軌道上にどれくらい物質が広がって分布しているかの情報を得ることにつながり、間接的にこの小惑星が現在の軌道に移ってからどれくらい時間がたっているかの情報も得られるかも知れません。

以下に1998SF36の軌道要素と、予想されている出現日とその幅射点や対地速度などのデータを示します。

【1998SF36の軌道要素(2000年分点)などの情報】

元期(ユリウス日):Epoch of Osculation (Julian Day, ET) 2451600.5
元期(暦日):Epoch of Osculation (Calendar Date, ET) 2000-02-26
平均近点角:Mean Anomaly (deg) 80.1260442
近日点引数:Argument of Perihelion (deg) 160.1044129
昇降点黄径:Longitude of the Ascending Node (deg) 71.6200678
軌道傾斜角:Inclination (deg) 1.7164781
軌道離心率:Eccentricity 0.280066367
軌道長半径:Semi-major Axis (AU) 1.32475775
近日点通過日時(ユリウス日):Perihelion Passage (Julian Day, ET)
2451476.5420653
近日点通過日時(暦日):Perihelion Passage (Calendar Date, ET)
1999-10-25.0420653
近日点距離:Perihelion Distance (AU) 0.953737661
絶対等級:H (absolute magnitude) 18.800
スロープパラメータ:G (magnitude slope parameter) 0.15

【予想されている出現日など】

Solar long. date RA Dec 対地速度 △
13.9deg Apr.4 165.8deg +11.5deg 6.0km/s 0.025AU
95.8 June 28 131.2 +26.7 6.1km/s 0.012
(以上長谷川一郎教授のSF36に関する流星の輻射点予報(私信))

【これまでの出現データ】

meteor date a e q ω  Ω  i  RA Dec VG D
H10330 54 Mar 12.43 1.13 0.15 0.96 224 351 2 155 25 3.8 0.15
H7220 53 Apr 11.25 1.42 0.32 0.96 214 21 2 170 14 6.5 0.05
H10000 57 Feb 25.35740 1.142 0.208 0.904 240.3 336.4 3.6 153.1 31.76.1 0.13
MORP172 75 Apr 11.244 1.269 0.236 0.970 213.5 20.4 5.1 181.6 33.35.7 0.09

流星番号、観測日(年−1900)、軌道要素、修正輻射点、対地速度、D値(SF36との軌道要素の類似性を示すパラメーター)
(軌道要素は1950年分点で、大塚勝仁さんに調べていただきました(私信))

【観測協力およびデータ収集のお願い】

最初にも述べましたように、宇宙科学研究所の小惑星探査計画の探査候補天体である1998SF36は、この小惑星に関係する流星が観測される可能性を持っています。この流星の観測データを集めて解析することはこの小惑星がどんな小惑星であるかを知るための大きな情報となります。
そこでみなさんの協力でこの小惑星に関係する流星のデータを集めて戴きたいと考えています。予想出現日は4月と6月ですが、その前後に観測をされる方はその中に1998SF36に関係する流星がないかなどにも注意していただけるとありがたいです。予測出現数はこれまでのデータを見る限り少ないので眼視観測には向いていないと思われますが、火球ネットワークやTV観測などで見つかる可能性はあると思われます。また今まで観測された流星のデータの中から、この小惑星に関する流星のデータを見つけて戴くこともたいへん有用な情報となります。みなさまのご協力を宜しくお願いいたします。

連絡先  安部正真      文部省宇宙科学研究所
(あべまさなお) 〒229 神奈川県相模原市由野台3ー1ー1
               0427ー51ー3911
               abe@planeta.sci.isas.ac.jp