たにぐうです。

讃岐國はうどんの国。鉄の掟は1日1うどん(?)

5/22 (月) 

愛媛県伊予三島市→香川県大野原町 晴/曇り 38km

朝メシ食ってると、昨日国道で抜いていった若い坊さんが
やってきた。24歳で高野山にいるが、もうじき茨城に
帰るのでその前に、とお遍路にやってきたそうな。

袈裟を着てテントや寝袋をくくりつけたリュックを
背負っているのはなかなかかっこいい。
しばし歓談後、彼は先行。

次にやってきたのは地元のじいさん。天気が良いかぎり
毎日三角寺へ登っているという。誘われていっしょに登ることに。

三角寺への登り、前半はきつい坂で畑や集落の間を登る。
じいさんは一歩一歩ゆっくりしっかり踏み出し登る。ゆったりした
流れるような歩みは太極拳みたいだ。後半はゆるやかな
舗装林道となり、1時間10分で六十五番三角寺に到着。

三角寺は山の上方に位置する山寺。門前には山里な集落あり。
境内は山寺らしく静かで落ち着く。納経所で納経。

納経では帳面なり掛け軸なりに、その寺の本尊名、寺名などを
墨字で書き、はんこを押す。寺によって筆致や書く速さが
違うので見ていて楽しい。ここのは数匹のミミズ(失礼)
をゆーっくり書く。素人には全く解読不能で強烈な印象。

じいさんに缶コーヒーをごちそうになり、あとから
登ってきたじいさんの仲間とともに休息。
ここから山を越えて行く三角寺の奥之院はいいらしいが、
次の楽しみにしとこう。

じいさん達と別れ、9時40分出。山里をゆるやかに下って
いくと1時間半ほどで国道192号が見えてくる。

と、道端に椿堂なる寺あり。ちょうどいいので休憩。
お、しかも別格15番だ。

四国八十八ヵ所には、88の霊場の他に別格霊場が20、番外が
たくさんある。88と別格を足すと108つ(煩悩の数ね)となり、
多くはないがこの108を打つ人もいる。

今回のたにぐうは、88の経路上にある別格には寄ることに
している。もっとも、へんろ地図持ってないから、
どこが別格かよくず、知らずに目の前を
通り過ぎてるのも結構あるのだが。

ちなみにここまででは十夜ヶ橋と曼殊院が別格。

椿堂は小さい。手洗い水が湧き水なのか豊富で気持ちいい。
水浴び(爆)

一服してると若い住職さんが出てきて
「ゆっくりしていきなさい」、と缶コーヒーをくれる。
ごち。木かげでまったり。

納経しに行くと、さきほどの住職さん、
「いいよ、お接待にしとくよ」と納経代もお接待に。
しばらくおしゃべり。「これ、お守りに持ってって」、と
念珠をいただく。わーい、小さいけど数珠がわりにもなるぞ。
早速手首にはめていこう。かんしゃかんしゃ。
最近おしゃべりできる寺が少なかったのでうれしい。

八十八ヵ所に入っているお寺よりも、別格や番外の方が
親切な所が多いようだ。高知のクリシュナおじさん始め、
歩いている遍路の多くが言っていたが、別格や番外霊場には
「心」がある。88と違って来る人も少ないし、
銭もそんなもうからんけど、信仰に
一番大事な物を持っている。

逆に88に入っている所では、銭もうけに走ってる所が
結構多いらしい。住職が愛人作ってクビに
なったとか、寺の借金を檀家が肩代わりしたから
あの寺は今檀家のもの、とか道中いろんな話を聞かされた。

霊場とはいえ、運営してるのは人間だから仕方ないが、
霊場を名乗る以上、「心」あるものであってほしい
と思う。もちろんいいお寺もいっぱいあるけどね。

国道で境目峠を越え、一旦徳島県に入る。少し下った
佐野の集落で国道をそれ、へんろ道は登山道に。

66番雲辺寺へは標高差800mの登り。山道は斜面に対して斜めに、
一定の傾斜で登っていく。そのため道はだいたい
真っすぐで、先の方まで見える、これがつらい。
道は結構荒れていて倒木多し。草もよく茂ってる。お遍路を
冬に始めているから、草でよけいに道が狭く感じる。
林間で視界は開けず、ただただ黙々登る。

1時間以上歩いたか、いきなり高原の畑に飛び出した。
麓から約5km。一気に来たので疲れしばし休み。

そこからは尾根上の車道を2kmほどゆるやかに登り
六十六番雲辺寺へ16時着。ここは標高1000m、札所では
一番高い。麓からロープウェイが出来ていて、
普通はそちらで来るようだ。山上公園からは
讃岐平野が眼下に広がる。ついに香川県。

納経所に戻るともう閉めようとしている。
あわてて納経。直後に納経所閉店。おいおい、まだ
16時半だぞぉ。ロープウェイで来る人が大半だから早く
閉めるんやろか。歩いて行く人は注意やな。

さて、下りも長いので出撃。下まで7kmの山道ダウンヒル。
こちらは四国のみちになっているので整備されていて
歩きやすい。曇り空で雲厚くなってきたので、
尾根道を急いで下る。60番もそうだったが、
夕方の長い山下りは精神衛生によくない。

爆走の成果、1時間半で麓の集落。寝床を探しつつ歩くが
これという場所がなく妥協もできずで、結局へんろ道から
5kmほどはずれたキャンプ場へ。東屋でかく快適。
山2つ登って38kmはさすがに疲れた。


5/23 (火) 

大野原町→三野町 晴 31km

まずは六十七番大興寺へ。里山の森の中。弘法大師が
植えたという巨木が繁る。静かな木かげでしばし昼寝。

さて、讃岐と言えばうどんの国である。麦畑があちこ
ち目につくのも当然か。ここはやはり1日1うどん(爆)
が鉄の掟(爆爆)ってもんだろう。メシ時に讃岐うどん屋が
出現したら入るってもんだな。

などと考えながら進むと、県道脇にうどん屋あり。
大衆食堂風で、香川ナンバーの軽トラが路駐している。
お、これこれ。地元民が来る普通の食堂ってのが
ポイント高し。早速入る。

この「大喜多」にてかけうどん食す。うどんのコシが普通と違って
しっかりある。つゆもうまい。いなりずしともどもたいらげ満足。
へんろ道沿いで、お遍路利用度が高いらしく、
100円お接待していただく。ごち。

昼過ぎ、六十八番神恵院&六十九番観音寺。
ここは1ヵ寺2霊場。もとは近くの琴弾宮の別当寺だったので、
神社で1、寺で1の2霊場ってことらしいが、
神仏分離令で神社は別にされたので、
寺1つで2霊場になったようだ(間違いご容赦)

同じ境内なのでおまいりも納経の時間も2倍。団体の納経を待つ間、
木かげで昼寝。ばあちゃんに200円、自転車遍路さんにみかんいただく。

14時出。川沿いの田んぼ道を行くと、前方にこんもりした杜と五重塔。
奈良の薬師寺を思い出す絵。七十番本山寺。
境内は広く堂も多い。境内も奈良の寺みたいだ。
お堂のかげで昼寝。寝てばっか(^^;

国道11号を北上。讃岐平野は平野のわりに山が多い。
それも、「まんが日本昔話」に出てくるような曲線の
きつい山が、平地からにょきにょきとあちこちに生えている。
そのにょきにょきの1つ弥谷山を目指す。
薄暗い車道を登ると中腹に道の駅。温泉あり、しめしめ、
と近寄ると1500円(哀)。却下。東屋からは平野の夜景がきれい。



5/24 (水) 

三野町→宇多津町 晴 26km

道の駅からすぐに七十一番弥谷寺。
木立しげるきつい参道を登る。山形の立石寺に似てるなあ。
お堂が山の斜面に散らばる山寺。山自体は高くないのだが、
それ以上の山深さを感じる。

山を裏側へ下り竹林を抜け、国道を渡り丘を登ると
七十二番曼荼羅寺。石畳や敷石白くさっぱりした明るい境内。
本尊が大日如来だから合わせてるのかな。境内に「不老松」なる
大きな笠松。きれいな笠状に枝がはる。朝日にまぶしい寺だ。

さらに丘を300m登ると七十三番出釈迦寺。寺は小さいが
丘の上で気持ちいい。背後にはにょきにょき山の
捨身ヶ嶽がそびえ、尾根上には奥之院の堂が見える。

捨身ヶ嶽のお話。
大師が子供の時、「私は仏法を世にひろめようと思うのだが、
もしその資格があるなら命を助けたまえ」、
と言って山から飛び降りた。すると天女が現れて
大師を救った、というようなお話(間違いご容赦)
納経所でジュースをいただき、縁台にてごろごろ。

出釈迦寺から来た道を戻ると72番横に「歩きの方お接待」の
看板あるうどん屋あり。ここ丸正うどんはうどんの
発送をする所。社長のおじさんがじっくりゆでた
うどんを生しょうゆでいただく。麺のコシしっかり。
具はなくとも激うま。おばちゃんいわく、讃岐人にとって
うどんはおやつがわりらしい。ごちそうさま。

11時、七十四番甲山寺は小さな山の麓。
とっても静かで小じんまりと、まことにたにぐう好み。

おまいりしてるとリュック背負った若い兄ちゃんがやってきた。
さっき72番で見かけた人だ。早速歓談。彼(門田くん)は23歳。
徳島の10番の近所に住んでいて、歩いてお遍路中。
半分ぐらいは野宿だそうな。久々に若い歩き遍路に
会ったおかげで長話。気が付くと14時前。
せっかくなので一緒に歩いていこう。

30分かからず七十五番善通寺。四国霊場の総本山だけ
あってでかい。観光客も多い。門田くんは「行」として
まわってるというだけあり、お経もばっちり。たにぐ
うはお経は読まんけど、つられて真剣におまいり。
今までが不真面目ってわけじゃないけど、彼の影響で
おまいり時間が長くなったのは確か。

15時、あと2つは行けそう。積載重量15kgの門田くんの
ペースはたにぐうよりちょっと速い。が、ついていける
速さなので引っ張ってってもらう。

40分ほどで七十六番金倉寺。にょきにょき山も
遠ざかり平野の真ん中。徳島の17番辺りと似た景色。
お堂のわりに境内広い。境内に神社あり。
お遍路の寺は神仏習合残る所が多い。
納経所の人に勧められ、テントのかげで一服。

さらに爆走し閉店直前に七十七番道隆寺。17番井戸寺
に似た境内。納経所のおかみさんがリンゴ、バナナ、
クッキーの入った袋をくれる。ごちそうさま。1日7寺は
さすがに疲れる。ベンチで1時間ほど果てる。

18時宇多津に向け出発。5km/h以上で爆走。メシ屋を探すと
「おか泉」なる讃岐うどん屋の看板。おっ、ここっ
て聞いたことあるぞぉ。こぎれいな店にむさくるしい
男2人。まずは温かいきつねうどんであったまる。
麺のコシは最強。だしもうまい。2杯目はぶっかけ(冷)。
麺のコシ最強。しょうゆもオリジナルでダシが
きいていてうまい。ごまんえつ。門田くんともども
納め札を収めると、店長さんが早速店の壁に
貼り付けてくれる。恐縮。ここはめちゃうま。絶対再来。

もう真っ暗なので健康ランドへ向かい、昨日はずした分まで汗を流す。



5/25 (木) 

宇多津町→坂出市 晴 22km

健康ランドを8時出、2人で徒ほほ。すぐに七十八番郷照寺。
住宅地の裏山といった場所。木かげでパンの朝めし。

10時出。旧街道と思われる町並みを進む。雰囲気よし。
坂出市街のアーケードをつっきり、門田くんのペースで快足。
でも2時間休み無しは、過積載にはちとつらい。

七十九番高照院は1つの境内の手前が寺、奥が神社。
トイレの水道で洗濯。かなり暑い。
納経所でせんべいをもらう。にこ。

少し進んで讃岐うどん屋(名前失念)見つけ昼食。ここは
セルフサービス式で、てんぷらなどを自分で取っていき、
最後にうどんをよそってもらう。自作天ぷらうどんで満腹。

くそ暑い中2時間ほど歩き八十番国分寺。でかい石が
境内に散らばっている。昔の塔や堂の基礎石らしい。
お堂のかげで2人ともくたばる。

アイス食ってると、
何か場違いな感じの超ミニスカのねーちゃん現る。
これは寝ているバヤイではない。生き返る2人(爆)。
ねーちゃんの行方を凝視するも、本堂の階段は登らず(謎哀爆)、
納経だけして帰っていった。ちっ(爆爆)。

お寺においてあった最近のへんろ新聞(?)に、
「煩悩を捨てては拾う遍路かな」、
という川柳が載っていたが、そのまんまやんけ(^^;;;。
見えなかったので(冗)、さらにフテ、じゃなくて昼寝。

友人と会うという門田くんと別れ、1人で五色台(山)へ登る。
登り道はマムシの巣らしく注意の立て看多数。
地元のおじさんおばさんも、
「今日もでかいの見た」、「さっき見た」、
と口々に言う。しかも夕方。一番出てくる時間やんけ。

足元に注意力集中し、さっさと登る。
どきどきどき。結果はチビマムシ1匹のみ。ほっ。

暗くなる中、車道を81番白峰寺方面へ。寺入口の
公園センターの軒下確保。坂出の夜景を見ながらメシ。

テントの外でぼーっとしてると、カブに乗った警察官
現れ、この旅初の職務質問。住所と名前を聞かれ、
それを無線で署に連絡し、身分照会している模様。
別に悪いことしてないし、四国巡礼ってことでそれ以上は
特に聞かれることもなく、警察官は去っていった。





 Web masater(Taniguu) wrote:

たにぐうです。初めて自分で更新作業してみました。
そのうち自分で管理せんならんので、練習なのです。
自分の原稿も、書き手として見るのと、管理者として見るのは
感じが違いますね。何だか新鮮です。


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