東北大陸北上編  その2


   カナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ・・・・・・・・

     気づくとヒグラシがハイトーンボイスで大合唱。山じゅうヒグラシだらけなのか??

    カナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ・・・・・・・・

     ええい、うるさい。しかもまだ暗いやんけ。

   カナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナカナ・・・・・・・・

     ・・・・。仕方ない。ここはヤツらの王国。がまんして二度寝。


    再び浅くなる眠りの中、こんどは鳥のアンサンブル。
   これはここちよい。またも眠りに落ちる・・・・・。

    む、もうすっかり明るいぞ。起床。でも、5時前だ。とりあえず体重を軽くして、片づけ。
   なんとなく自炊するのがめんどくさい。笹川流れまで行って、海を見ながらメシを食おう。
   荷物を積み上げ6時に出発。朝もやのR290を北へ。と、すぐに出湯温泉入り口の看板。
   すいこまれる(^^;;
    道のどんづまりに寺と小さな温泉街。寺の境内に共同浴場とおぼしき建物。窓から裸
   のオッサンが見えるということは営業中。早速ごー。コンクリ造のひなびた建物。タイル
   張りの湯舟からは、きれいな透明の湯がじゃんじゃんあふれる。壁の上には弘法大師
   の小さい像が立つ。ここもお大師さまが杖突いて湧き出させた温泉。寺も元は弘法大師
   開山の巨大寺院だったらしい。今は小さい田舎寺。落ち着く場所だ。

       

    さっぱりした所で出発。田んぼの中の道を涼しく快走。
    新発田市からは国道7号。クルマ多いが流れ速く爆走道。単調で、たいくつ。
   日が照ってきた。昨日の日焼けが痛い。コンビニに入り、日焼け止め買って塗る。効果
   てきめん。村上市に入り、海沿いの国道345号へ。三面川の橋を渡ると左から日本海が
   寄ってくる。水平線はもやでかすんどるが、青い。国道は海岸沿いの少ない平地を、集落
   数えながら進む。クルマも人も少ない、のんびり田舎道。北国の清新な空気だ。

    9時、道の駅笹川流れ。「笹川流れ」とは、村上市から山形県温海町にかけての海岸の事。
   「流れ」の名は、沖の潮の流れが早いことから来ている。
   まだ客の少ない売店で、乾燥岩のりと剣先スルメイカを購入。さ、ここからがこの海岸のハイライト。
   山が迫り、断崖と奇岩の入り江が続く。海は透明なエメラルドグリーン。眼鏡岩の東屋にて一服。
   浜にはすでに海水浴客たくさん。海に見とれつつ、結局コンビニおにぎりの遅いメシ。

    少し昼寝の後、出発。国道7号に復帰。山形県に入る。この近くには、登頂すれば誰でも日本国
   征服者になれる、その名もズバリ「日本国」なる山がある。少し迷うが、たにぐうはすでに一度征服
   済み(笑)なので、今回は通過。10時半、その先の道の駅あつみに入り、ビン牛乳を飲む。
   ここに来るのは岡山のバット殺人少年とニアミスした時以来だ。
   隣に停まっているたにぐうと同じYAMAHAのセロー、特製金属荷台にザブトン、ハンドルには
   事務用の書類挟む板をくくりつけ、そこに地図を挟んでいる。みんな、それぞれ工夫しとるんやな。
   持ち主と話したかったが、現れないので出発。

    由良でR7を離れ海沿い道へ。松林の防風林とメロン直売。そして酒田の街へ。
   土門拳に山居倉庫に鐙屋・・・。左右に誘惑てんこ盛りだが今回は振り切って通過。この辺なら5日
   くらい休みがあれば来れるからな。しかし、町中で気になることが1つ。女子高生のスカートが長い。
   北国だからか?
   
    R7に復帰し給油。しかし、ねむい。遊佐町に入り鳥海温泉にピットイン。ここは駐車場に飲泉場があ
   るのだが、足湯もできていた。ちょうどよい塩味+炭酸鉄味の温泉を飲んで復活!左に海、右にかす
   んだ鳥海山を眺めつつ北上。秋田県境の三崎公園が今日の最短目標だが通過。13時過ぎ、道の駅
   象潟に到着。はらへった。どんぶり屋で海鮮天丼(\1000)。天ぷら山盛り。ハタハタ天うまい。ごち。
   
    食後の散歩にすぐそばの蚶満寺へ。ここはおくのほそ道で芭蕉が訪ねた最北の地。かつては宮城の
   松島と同じ湾に小島が浮かぶ景勝地だった所。その後の地震で海が隆起し今は陸。山門に立つ。

       

    緑の海に、風がそよぐ。島の間を、自転車を押した高校生が行き過ぎる。
   松島はいまだここにあり。
   
    寺にはネコたくさん。本堂は風雪に耐えて年季が入っている。ぐるりとまわって再び山門。
   ここは風の通り道。涼しさが吹き抜ける。気持ちのいい空間。


    休憩ついでに近くの金浦温泉へ寄る。浴室に油臭充満の強食塩泉(^o^)v 濃い黄色透明
   なお湯は塩辛い+油味。お湯からもキョーレツ油臭。にこ。露天でぼんやり。しかし、クソ暑さ
   にやられ気味の体に湯冷めしない強食塩は重い。浴室のベットでのび太と化す。
      ぐーーーーーーーーーーーーーーー。


   お、15時まわった。かけ湯でも浴びて出るとしよう。ん、このかけ湯真っ黒やなぁ。ちょうどぬるいぞ。
   ばしゃーーーん。
   なんじゃこりゃ???灯油か???めっちゃ油臭い&油味。
   うへぇ。こりゃあすげえ。思わず何杯もかぶっちまう(笑)
   でもあんまり浴びると気持ち悪くなりそうなので、ここらでやめておこう。
  
    15時半、まだ暑い中再び走り出す。仁賀保町。背後の山には風力発電の風車がズラリ。そういや
   午後に入ってからやたら風車だらけだ。しかし、ねむたい。限界だ。道の駅にしめにピットイン。
   東屋のベンチに転がりのび太と化す。
      ぐーーーーーーーーーーーーーーー。


    むう、よく寝た。またも30分ほどの爆睡。
    国道は海沿いの丘の上をゆく。笹原の原野と丘に向かって傾く松。北国に来た。日が傾いて日本海
   が白くきらめく。混雑する秋田市を抜け、防砂林の直線路を男鹿方面へ。そして大潟村の直線道路へ。
   日が落ちていく。日没待てー。海に落ちる夕日見たい。八竜町、海に向かって松林を抜けると行き止ま
   りに日本海に落ち行く夕陽。見送る。今日もよく走った。

    さて、寝床。ここは海水浴場でキャンプもできる。草地のサイトにとっとと設営すれば、すでに数番星。
   スーパーで買いだし、近くの温泉へ。1時間ほどとろける。
    21時、テントに戻りメシを炊く。ちゃんと米を炊くと旅心が定まる。今日買った岩のりと納豆のごはん。
   剣先するめイカとビールで野営の空にかんぱーい!!天の川が豪快に流れている。北斗七星低い。
   北の空だ。波の音だけ。やがてペガスス座大四辺形にアンドロメダ。

            仰ぎて宇宙の大を観る。

   書家の王羲之「蘭亭序」の一節が頭に昇る。旅の空になってきた。


  2005年8月5日
  新潟県阿賀野市→秋田県八竜町  晴れ     走行距離 約330km









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