たにぐうです。四国はプライベートでは2回目。
仕事(トラック)で来たこともあるけどそれは別。

と言うても前は車で林道走りまくってただけだから、今回が
本当の四国を体験する旅になると思う。
そして、本当の四国は、やはり八十八ヵ所やろなあ。
ということで、お遍路になります。
さすが歩きどころ。超長文警報。
徳島は一番から十二番に集約されてる。


2/6 (日)

 鳴門市大津町→同市板東 雨/曇り 14km

朝風呂浴びて8時半出。健康ランドでは自炊できんので、
近所のコンビニへ行きパンとおにぎりで朝食。
雨は本降り。車の水ハネ攻撃数回。なめてんのかー!!
トラックは農道を爆走していく。徳島は交通マナー悪い。

13時、一番札所霊山寺。四国の入り口だ。大寺院を
想像していたが、小さな田舎の寺だ。だが小さいながらも
風格漂う。本堂にある売店にて白衣購入。日曜で郵便局が
閉まっていて銭下ろせずで、納経帳(ハン押すやつ)は買えず。
今日はこの辺で時間つぶして明日からスタートやな。

本堂脇のベンチでぼー。とっても落ち着く寺だ。
日曜とあって、この雨なのに老若男女問わず
ひっきりなしにおまいりにやってくる。白装束の団体さんから
若いねーちゃんまで。お経あげてる人もちらほら。

見とって思った。作法とかはあるけど、それぞれの
スタイルでおまいりしてきゃええんやな。
じゃあ、俺は過積載徒ほほ遍路ってことで行こう。

近所のドイツ村公園に座敷付き東屋あり。
雨はやんだが風が冷たい。誰もいないので明るいうちから座敷に
テントを張ってもぐる。床の上って快適だ。


2/7 (月)

 鳴門市板東→土成町 晴|曇り 22km

9時、再び一番霊山寺へ。誰もおらず静かだ。
本堂、大師堂とおまいりして納経する、というのが順番らしい。
境内でしばしぼーっとした後出発。ここはいい。帰りにまた来よう。

二番極楽寺は10分ほど。境内が奥にいくほど広くなっていて
いい雰囲気。ここも静かだ。またのんびり。

三番金泉寺へは1時間ほど田舎道を行く。田舎の寺やなあ。
団体さんがお経あげて作法どおりにおまいりしていたので見物。
本格的なお遍路スタイルの歩き遍路のおじさんがいて、しばらく話す。
ばあちゃんにみかんをもらって出発。

さっきの遍路おじさんに追い付きいっしょに歩く。
野宿しながらずーっと歩いているそうな。
へんろ道(歩きの道ね)には保存会が立て札を立てているのだが、
その見つけ方とか教えてもらう。予習を全くせずに
お遍路になったので大変参考になる。
道は車道からはずれあぜ道や民家の庭を行く。これが昔からの道らしい。

四番大日寺は山手に少し登った所。田舎の小さい寺が続く。
大寺院がぼこぼこ建っていると思ったらそうじゃないんね。

五番地蔵寺。寺の手前で立ち話していたばあちゃん2人が、
「これでジュース飲みな」、と50円玉4枚渡してくれる。
五番は裏に五百羅漢の霊場があり大きい寺。
おまいりに来ていた広島の夫婦と話すと、
「これパン代にして。がんばってね」、と千円札を渡される。

お遍路やってる人にいろいろしてあげる事を
「お接待」というのだが、にしても、
ほんまにそこまでしてもろてええの?、と面食らう。
こっちは勝手に歩いてるだけやのに・・・。

とはいえ徒ほほに遠慮は厳禁。どちらもありがたく頂戴しておく。
良くしてもろた分はちゃんとおまいりしなきゃ。
歩き遍路のおじさんと抜きつ抜かれつで六番へ。
おじさんは仏門に入っているそうで、
托鉢して食っているそうな。これぞ本物や。

六番安楽寺は昔は温泉が湧いていたそうな。
弘法大師開湯の温泉っていくつかあったな。

すでに16時半。納経は17時で終わりなので、急いで7番十楽寺へ。
意外に近くて10分で到着。野宿場所を探して前進すると
言う遍路おじさんと別れ、寺横の公民館に陣取る。
裏手に回って設営。明日は雪だそうな。


2/8 (火)

 土成町→鴨島町 雪|曇り 20km

朝、時折晴れ間も出ている。雪なんて山の方だけじゃん、
などと余裕ぶっこきつつ撤収。しかし風はきつい。

9時出。と同時に前方から黒雲現れあっという間に風雨。
ひえー。傘は風で使えんのでかっぱ着て進む。

八番熊谷寺直前、雪だー、吹雪だー。
八番、畑の中に山門がどっしり構える。寺は集落から入った
山の斜面に建つ。山寺と雪がとても合う。おお。写真活動全開。
昨日どこかの寺で見かけたねーさんがやってきた。
やはり歩いて八十八ヵ所回ると言う。しばらく話した後先行。

九番へ吹雪の田んぼ道を進む。まわりは田んぼしか見えん。
うひょー、雪だよ雪。一人はしゃぐ。
雪が幾筋もの糸になって目の前をすりぬけていく。
気分は完全に乗鞍でクロカン(クロスカントリースキー)だ。

寒いのも忘れルンルンで九番法輪寺。境内で餅売ってる
おばちゃんにお茶をいただく。「お接待だから。どうぞ」、
と餅とイモをいただく。餅うまい。ごちそうさま。

1時間ぐらい休んでから十番へ。この辺りのへんろ道は
国道や県道を通らず、狭い田舎道ばっかで歩きやすい。
これまで車のよー走る道が多かった徒ほほには新鮮でうれしい。

十番切幡寺。門前の参道には店が並ぶがオフシーズンで
ひっそりしている。坂を登り石段を登った山の中腹の寺。
眺めはよさげだが、雪で何も見えず。

もう昼過ぎ。さっきのねーさんと入れ代わりで出発。
吉野川の河原で休んでいると、十番を出る時に見かけた
バックパッカーが追い付いてきた。たにぐうと似たような
装備の彼は、テント泊で松山から回ってきたらしい。
彼のが足が早い(こっちは過積載だから)ので、
先に行ってもらう。その方がマイペースで歩けるから。
人に合わせて歩くのって結構疲れるんですわ。

曇ってきたが、暴風は変わらず。十一番へ。
交差点で道を迷っていると、車で通りがかったおばちゃんが道を
教えてくれる。こういう時は白衣が役に立つらしい。

十一番藤井寺。バックパッカーの兄さん(ケン)とねーさん、
僕の3人がそろう。駅前の宿まで歩くねーさんを見送り、
僕らは寺の物置に泊めてもらう。3畳ほどだが、
畳、電気有りで快適だ。ケンはバイクであちこち
旅しているらしく、2人で旅の話をしつつメシ。
こういう旅人に会うのは北海道以来だ。
明日の山越えに備え早寝。


2/9 (水) 

鴨島町→神山町 晴 23km

5時半起き。「広島に来たら連絡してくれ」、
と言うケンと住所交換。7時、ケン出発。30分遅れでたにぐうも起動。

ここ十一番から十二番までの12kmは、へんろ道は完全な山道。
途中の柳水庵に人がいる以外は無人である。
並足で6時間。過積載だからもっとかかるか。

寺から稜線までは標高差500mの登り。あせっても進まんので
階段を一歩一歩前進。あーきつい。細い山道は
うっすら雪化粧。風は今日も暴風だ。
足元には真っ白な平野広がる。

稜線に出ると適度なアップダウンの楽しい山道だ。
積雪は薄〜3cmぐらいか。平地は見えなくなり、
完全に山の中。尾根上の林の中を細い山道がえんえん続く。
でも、この道は旧街道みたく隠居した道ではない。
今も生きている道なのだー。

後ろから奈良の理科の先生が追い付いてきて、
いっしょに進む。見えるのは山山山。紀州と同じ系統の山だ。

600mピークのきつい登りを越えると柳水庵。
ここには車道が通じていてお堂とへんろ宿がある。
老夫婦が住んでいて、言われるままに玄関先で
お茶とみかんをいただく。あー、生き返る。
ここまで2時間半は上等だ。30分ほどまったり。
ここはいい。いつか泊まってみたい所だ。

10時半出発。稜線の行く手に山が立ちはだかる。
標高800mの一本杉庵まではきつい登り。
道は昔のままのしょぼい山道だし雪も多い。
過積載では転倒即大怪我なので慎重に登る。

1時間で一本杉庵。名の通り杉の巨木とお堂がある。
ここは無人。雪景色のお堂がいい味出してる。
うーん、すんばらしい。この道、気に入った。
徒ほほの道暫定1位に認定。ここでもまったり。

十二番は向かいの山の上だが、道は谷底へ一気に下る。
標高400mの左右内の集落からは再び800mまで登り返し。
「へんろころがし」の名は嘘やない。めっちゃきつい。

2km/1hで十二番焼山寺。杉並木がごつい。四国の山が広がる。
うおー、山が深い。向こうの尾根にさっきの一本杉。
長い道だったなあ。しかも雪道なんてめったにないぜよ。大満足だ。

山道を下って車道に出る。車道は楽だが足の裏は痛くなる。
神山町の中心へ。商店でパンを買うと、
じいさんが「お接待だ、熱いよ」、と缶コーヒーくれる。ごち。

神山温泉の隣の公園に東屋発見。しめしめ。温泉へ突入。
あー、だー、動いた後の温泉は最高だー。
温泉は体動かした後に尽きる。20時閉店までのんびりまったり。
疲れすっかりとれる。東屋に移動しメシ。
洗濯物や洗った鍋が凍り付く。そんなに寒いのか?
体がだいぶ耐寒仕様になってきたらしい。充足の1日だー。


おまけ:徒ほほが歩いた道ランキング(2000.2.9)
1位:十一番から十二番へのへんろ道(徳島県鴨島町〜神山町) 2000/2/9
2位:国道339号三厩から龍飛(青森県三厩村) 1999/6/14
3位:国道238号猿払から宗谷岬(北海道稚内市) 1999/8/28
4位:国道458号肘折温泉への道(山形県大蔵村) 1999/5/14
5位:中標津直線路群(北海道中標津町) 1999/8/6&9

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